フリー&オープンソースGISの祭典
フリー&オープンソースGISの祭典
世界各地では、FOSS4G(*)のイベントが開催されています。国内でも2007年から東京や大阪でFOSS4Gイベントが開始され、さまざまな事例発表や講習会が行われます。
北海道では2012年からFOSS4G Hokkaidoとして開催されており、近年では国内外から170〜200名もの参加者を集めており、FOSS4Gやオープンなジオを中心とした情報交換や活発な交流を呼び起こしています。今年もFOSS4G Hokkkaidoからコミュニティをより活発化させていきましょう!
* FOSS4G(フォス・フォー・ジー)とはFree & Open Source Software for Geospatial の略で、オープンソースの地理情報ソフトウェア(GIS)群です。
FOSS4Gはソースコードも含めて無償で公開され入手・再配布が自由であり、導入・運用が低コストで行えるだけではなく、利用者が自らソフトウェアの検証・改善・メンテナンスを行うことが出来ます。
FOSS4Gは国際非営利組織のOSGeo財団により支援され、日本における公式の支部として OSGeo財団日本支部(OSGeo.JP)が活動しています。
FOSS4G Hokkaido では今年からテーマを掲げました。テーマは Reprojection です。
ReprojectionとはGISの機能の一つで、別の図法などで同じデータを表示する「再投影」という意味です。FOSS4G Hokkaidoではすこし意味を広げてReprojectionを「新しい視点」と捉えてみたいと思います。
過去20年ほどにわたって、私たちはGISという技術を通じてさまざまな成果を輩出してきました。しかし、近年では多種多様な立場やデータ、そしてツールによって新たな価値を生みだせると痛感しています。
FOSS4G 2017 Hokkaidoでは、様々な出会いによって、 Reprojection として引き起こしたいと考えています。
あなたにとっての Reprojection はなんでも構いません。ツール紹介での気付き、懇親会での会話から得られた意外なアイデア、フィールドに持ち帰ってのフィードバック…そんな Reprojection が生まれることを私たちは願っています。
さあ、コミュニティとともに一緒に「新しい視点」から、大きな樹を育てていきませんか?
FOSS4Gの最新トレンドをもとに、実際に操作しながらソフトやデータの扱いを学ぶ体験型の有料セミナーです。
初心者から上級者まで様々なラインナップを揃えており、
北海道はもとより国内でもなかなか受講できないコースもございますので、ご検討ください。
※講習の詳細や必須スキルは順次更新いたします。
参加費は1セッションごとに 一般 4,000円・学生 2000円 です。
さまざまなFOSS4Gに関する話題を提供する事例発表です。
最新の技術トレンドや、独自のアイデア、取り組みの紹介など、魅力的な話題が続々登場します!
順序は変更になる場合があります。ご了承ください。
開場
開会あいさつ
北海道大学大学院工学研究院 森 太郎
建築環境学というのは建物(場合によっては都市)の室内環境やエネルギーを扱う分野です.
この分野では,以前から都市レベルの現象(ヒートアイランド)の解明にGISが用いられてきましたが,もっとミクロなモデル(建物そのもののエネルギー消費量や室内環境)の分析にはほとんど用いられてきませんでした.
そのような状況の中で,北海道大学の建築環境学研究室では,あまりよくわかっていないながらも少しずつ地図情報の利用を進めてきております.
Georepublic Japan 関 治之
だれでもデータを使えるOpenStreetMapを使って、だれでも使えるナビアプリ「だれでもナビ」を作ってみました。車椅子、音声ナビに対応。データづくりも当事者が可能です。開発の裏側をお伝えします。
休憩
北海道開発局 旭川開発建設部 旭川河川事務所 村上 泰啓
以前勤めていた職場で、洪水時の雨量分布図を作っていた関係で、FOSS4GツールのGMTに慣れ親しみました。SRTMやGEBCOなどのフリーの地形データを背景に、様々な投影法で分布図が描けるのですが、GUIがないので、最初は本当に苦労しました。ここでは得意分野?の雨量分布図、震源分布図の描き方をご紹介したいと思います。
京都大学 堤田 成政
NASA/USGSやESAなどが大量の衛星画像アーカイブをオープンデータ化したことにより、誰でも自由に過去の衛星画像が使えるようになっています。しかし、データの量が膨大すぎてローカル環境では処理できないことが懸念です。そのためいまはやりのクラウドサービスGoogle Earth Engineを使い、ローカルのOSSで分析できるまでデータを前加工するのが現実的なアプローチだと思われます。今回は、2001~2016年まで月2回の頻度で格納されているMODISデータ(解像度250m)を使い、全球レベルで正規化植生指数(NDVI)を1年毎に平均してみて、その時系列トレンドを発表枠内で計算することに挑戦します。
株式会社ナイトレイ 瓜生 真也
これまで、地理空間データ処理を行うためのプログラミング言語として、Pythonが広く利用されています。その一方で、R言語もまた、地理空間データを扱うための機能を備えている点についてはあまり知られていません。R言語は主に統計解析の用途で利用されるオープンソースのプログラミング言語ですが、パッケージと呼ばれる機能拡張を利用することで、Pythonに劣らない操作が可能になります。本公演では、R言語を利用してできる地理空間データの操作や表現方法の可能性とその利点について、オープンデータを例に紹介します。
休憩
株式会社マピオン 清水 珠里
マピオンは2016年10月、研究開発の情報発信サイト「マピオンテックラボ」をオープンし、『ベクター地図』β版を公開しました。 本発表では、ベクター地図のサーバ構成、技術選択、今後の展望などをご紹介させてい ただきます。
OpenMapTiles project Jiří Kozel
休憩
松江歴史館 花形 泰道
松江G空間ミュージアムでは、歴史好きでなくとも歴史を活用できるように、従来の視点とは異なった視点で、歴史資料データベースの構築をRubyとQGISで行いました。
また、活用していく中で、「北海道」に松江藩ゆかりの場所があり、古くから繋がっていたことが分かるなど、場所、歴史、人など様々なものが繋がることで新しい発見があったことも紹介したいと思います。
Code for Nagoya / E2D3 宮内 はじめ
「ジオメディアサミット」や「データビジュアライズハンズオン」などシビックテックに限らない活動をしているCode for Nagoyaのご紹介から、そのイベントの中で生まれたFOSS4Gを活用したGISアプリの内部実装に関して特に「PostGIS」の活用例をご紹介します。
休憩
長野県林業総合センター 戸田 堅一郎
曲率(Curvature)と傾斜(Slope)を用いて、地形を立体表現する図法である「CS立体図」について、開発の経緯、作製方法とCS立体図を用いた地形判読方法の基本についてご紹介します。
北海道後志総合振興局森林室 喜多 耕一
地形のよく分かるCS立体図を、国土地理院の標高DEMから自作して、タイル地図を作りWeb地図で公開しました。 全国の地図を作るときに苦労したこと、気づいたことを紹介します。
株式会社ノーザンシステムサービス 小林 知愛
昨今異常気象による災害が増加傾向に有ります。突発的な豪雨による崩落が各地で大きな被害をもたらしました。このような異常気象による崩落をCS立体図、地質図等と組み合わせてディープラーニングによって崩落予想ができるかどうか検証した結果を発表いたします。
休憩
佐賀大学芸術地域デザイン学部 杉本 達應
街の名前についての固有のイメージを浮かび上がらせる鑑賞型Webアプリ「bibliomaps」を開発しました。このアプリでは、青空文庫のテキストから地名と前後の文脈を抽出し、地図上にマッピングしています。この一風変わったデータビジュアライゼーションの開発の過程をご紹介します。
旭川工業高等専門学校 嶋田 鉄兵
道内では,鉄道やバスなどの公共交通で利用減少による減便・廃止が進んでいます。一方,高齢化社会が進むなかで公共交通の維持が課題となっています。本発表では,公共交通を考えるきっかけとして,主に道内の公共交通に関するオープンデータや,それらを用いて作成したWebアプリケーションについてご紹介します。
東京大学 伊藤 昌毅
現在手に入る公共交通オープンデータや、今後の普及の見通し、またGISなどを利用したオープンデータの活用方法を、実演を交えて紹介します。
農研機構 / OSGeo.JP 岩崎 亘典
地理空間情報の活用は、地図調整や測量といったいわゆる「業界」を中心に行われてきた。しかし現在、FOSS4Gの普及やオープンデータの進展により、「業界」以外での活用が進んでいる。本発表では、CS立体図の活用に見られた参加型の技術開発と活用を、地理空間情報のオープンイノベーション、すなわちGe-Open InnovationとしてReprojectionする。
今年の懇親会は同時開催のdb analytics showcase Sapporo 2017と合同で懇親会を行います。